■グリーニャの人々

①ライアン家の大黒柱
カッツェ・ライアン
アルフレッドの実父/フィーナの義父。
腕の良いメカニックでもあり、現在はグリーニャの片隅で村唯一の電器屋・ライアン電器を営んでいる。
仕事一徹の寡黙な職人肌で、アルフレッド以上の無愛想且つ強面から世界最恐の電器屋と言われているのだが、
見た目に反して傷つきやすく、目つきを悪化させた原因の一つである視力の回復に努めるなど密かに愛嬌の持ち主。
基本的には子どもの意思を尊重し、自由にさせているのだが、ここぞと言うときには一家の大黒柱として妻と子どもたちを守り抜く。
かつては、さる組織の技官だったらしいが………。


②わが子を陰ひなたに支え続ける最愛の母
ルノアリーナ・ライアン
アルフレッドの義母/フィーナの実母。
カッツェが前妻と別れ、また本人が前夫と別れた後、紆余曲折を経て再婚。ベルを授かった。
穏やかな気質によって一家を支える縁の下の力持ちで、基本的に夫のカッツェを立てるようにしているのだが、
必要な場合は彼に代わって子どもたちを叱咤し、進むべき道を示唆していく。
何事にも揺らぐことのない芯の強さを持った逞しい母親であり、フィーナの永遠の憧れである。
なおライアン家のヒエラルキーでは、カッツェを凌いで不動の一位にある(逆にカッツェは最下位)。


③アルフレッド、フィーナの実妹
ベル・ライアン
アルフレッドとフィーナの実妹/カッツェ・ルノアリーナの実子。また、シェインの幼馴染み。
世界の全てに興味を示すほど好奇心旺盛で、いつもシェインの後ろを随いて回っているせいか、
5歳児とは思えないほどのバイタリティの持ち主でもある。
両親が再婚同士であり、またアルフレッドとフィーナが家族に秘密で恋愛関係を結んでいるなど特殊な環境のライアン家にとって、
ベルの存在が一家団欒を生み出していると言っても過言ではない。
兄の影響か、大変な読書家。勉強と言うものから縁遠いシェインよりも遥かに博識で、
ときにうんちくを垂れては彼に煙たがられている。







かけがえなき、無二の親友
クラップ・ガーフィールド
アルフレッドやフィーナの幼友達であり、シェインにとっては少し年の離れた悪友。
日々お気楽が信条で、自分にとって楽しいことを最優先し、面倒なことは後回しにするなど
緩やかな山村の空気に浸りきりの、怠慢な生活を送っている。
様々なものを背負って過酷な道を進む親友たちとは正反対であるが、
グリーニャを旅立ったアルフレッドたちのことを常に気に掛けており、日を置かずメールや電話をして安否を確かめている。
先祖代々の時計職人を稼業としており、クラップ本人もマイスターのひとり。
日々緩やかに生きているのは、集中力を要する時計づくりの反動らしいが、これはあくまでクラップの持論である。


※クラップという大きな存在(天河真嗣)
故郷の友人と言うのは、誰にとっても掛け替えのないものだと思います。
例え離れて暮らしていても、ルーツが同じだから何時でも繫がっているような気にさせられると言うか。
友人との想い出を通して故郷を懐かしむ機会(こと)も決して少なくないでしょう。
アルフレッドたちをグリーニャより旅立たせるにあたり、最も気を配ったのは故郷の友人=クラップのことでした。
直接的な出番こそほぼ出ずっぱりだった第1回をピークに控えめになりつつありますが、
常にその存在や有難味、距離の遠近に左右されない友情を身近に感じられるようクラップと言うキャラを書いていったつもりです。
面倒くさがって邪険にするアルフレッドですが、もしかするとクラップの存在が彼の心を占める割合は、
恋人であるフィーナよりも広いかも知れません。それでいて重くないあたりが、まさに故郷の友人。
心のどこかで重石となっている。それが故郷であり、共に育った幼友達ってヤツなのかも知れないな、と。
このあたりは僕の経験がモロに出ている箇所なので、ちょっと気恥ずかしいのですけど、
誰もがその大切さを共有できる故郷の友人を、アルフレッドたちにも作ってあげたいと思ったのもまた事実。
クラップという大きな存在は、ずっとアルフレッドへ寄り添い続けていきます。