謎とけ! G−SHUN〜トロイメライ出張版〜

■File1.トラウム


「と言う訳で『舜・代』の世界から出張してきたぜ」
「出張と言うか、私たち以外に人選のしようがなかったのではないかしら」
「相変わらず歯に衣着せぬ言い方しやがるな、オイ。
ま、それくらいばっさりぶった斬ってくれたほうがナビゲーターには適任なのかもな」
「そうね。読者の皆様にも余計な先入観を持たずにナビゲートを訊いてもらえるわね。
もっとも『舜・代』の更新は数年前から止まっているし、『舜・代』キャラなんかもう忘れているわ」
(歯に衣着せぬっつーか、何つーか、人選、ミスってね?)
「第一回は<トロイメライ>の世界観を語る上で欠かせない『トラウム』についてよ」
「URYYYYYYY!!」
「………アンパンは美味しかったかしら?」
「そのケータイはなんだよ!?」
「危ない人を見かけたら110番するのが市民の務めよ」
「人をジャンキー扱いすな!」
「唐突に奇声を上げ始めたら普通は正気を疑うわよ」
「ちげーよ! 俺はトラウムについて説明するのに
一番わかりやすい例えを挙げたんだっつーの!
なんだ、お前。幽波紋(スタンド)知らねぇクチか?」
「…スタンド・バイ・ミー?」
「違う。いや、ある意味、当たってるけど」
「あんまり意味不明なことを言っているとズッ殺すわよ」
「直訳すると頭蓋骨をぶっこ抜いて殺すの略だよな。怖ッ!」
「あんたが妙なことばかり言うからでしょう」
「つまりだな、<トロイメライ>に於けるトラウムって要素は、
ジョジョの奇妙な冒険に於ける幽波紋と同様ってことだよ」
「ジョジョって荒木比呂彦先生の? 
…スタンドって何よ。おかしな仮面は出て来たけど、そんな妙な名前なんて覚えがないわね」
「ツッコミ入れるのがソコかよ」
「でも、言いたいことはニュアンスでわかったわ。
少年コミックでは定番の超能力ってこと?」
「少年マンガに限らねぇけど、まぁ、そんなトコだな。
武装錬金しかりマテリアルパズルしかり掌握領域しかりな。悪魔の実はちと違うか」
「作品世界に普及している能力ね。敵も味方もタイプは違えど同じ力を使うのね」
「ざっくばらんに言えばな。<トロイメライ>のトラウムは
ヴィトゲンシュタイン粒子と言う不思議な粒子に働きかけることで
各人に一つだけ割り当てられたトラウムを具現化するんだ。
そのメカニズムから具現化粒子と呼ばれることもあるな」
「自然界に存在するあらゆる物質や粒子と同化して使用者の思い通りに
トラウムを作り出せるのが特徴ね」
「実際は自然界に今ある物質を別の物体へ創り換えるって言い方が合ってるらしいな。
全く新しく創り出してるわけじゃねーんだってよ」
「なんとも曖昧で含みのある言い方ね」
「ミステリアスなこと言ってカッコつけてぇんだろうよ、作者としては」
「中学生が考えそうな設定よね。煙に巻くような言い回しで逃げ回ることも
大人然としていなくて情けないわ」
「自然界の物質に作用して思い通りに創り換えるとは言ったけど、
イメージした通り、どんな形にも物体を換えられるわけじゃねーってよ」
「物体? おかしいわね、私が耳にした話だと、具現化と一口に言っても、
何種類かにカテゴライズされるそうじゃない」
「さすが秀才、予習もバッチリだな。現時点で確認されているトラウムの具現化パターンは
以下のようなカテゴリーに大別されるんだ」

@マテリアライズ…
最もポピュラーなトラウム。一般的にトラウムと言うとこのカテゴリーのものを差す。
拳銃、人型ロボット、デコトラ、自動販売機など様々なツールを具現化させる。

Aエネルゲイア…
発火や凍結、放電と言った自然現象を起こす。
使用者の絶対数が少なく、またコントロールも非常に難しい為、他のパターンに比べて希少。

Bアルタネイティブ…
ヴィトゲンシュタイン粒子を体内に取り込むことで身体能力や感覚神経をブーストアップさせる。
また、使用者に透明化などの特殊な能力を付与させるトラウムも
アルタネイティブにカテゴライズされる。


「現時点で確認されているトラウムは、おおまかにこの三種に分類できるんだ」
「トラウムのパターンは使用者ごと一種類に限定されるのよね。
例えば、銃のトラウムを最初に創出させた人は、それ以外の形を変えられない。
それにトラウムそのものは成長と言うか、進化もしないと聞くわ」
「原則的にはな。一人につき複数のトラウムが備わることも基本的にはない」
(あら? また含みのある言い方ね)
「それと厄介なのは、原則一種類に固定されるクセして
使用者の自由に具現化した際のパターンを決められないってトコだな。
なんでも、使用者の深層心理にアクセスして、本人が最も望むモノを
引き出す特性があるらしんだわ、ヴィトゲンシュタイン粒子ってのには」
「心理学っぽいわね。本当の欲求は表に出てこないし、本人も自覚していない」
「例えば光海は俺に表面的にはそっけないけど、ホントは俺のことが好きで仕方ねぇ、みたいな?」
「発動と解除は本人の意志の自由だけど、それ以外の制限は割とシビアね」
(顔真っ赤にして平静を装うとか、可愛いなぁ…)
「そもそもどうしてヴィトゲンシュタイン粒子を人間がコントロールできるようになったわけ?」
「通常、人間の塩基配列はアデニン、グアニン、チミン、シトシンから構成されるよな。
RNAの場合はウラシルとかチミンが入れ替わるけどさ。
<トロイメライ>の世界の住人には、この他にもう一つ、ミュータと呼ばれる因子が備わっているんだ。
このミュータ因子はヴィトゲンシュタイン粒子に共鳴する性質があるらしくてな、
ミュータ因子を備えてる人間はもれなくトラウムのユーザーになれるってワケだ」
「その言い方からするとミュータ因子を持たざる人もいるようね」
「トラウム不適合者も確実に存在する。比率にしたら全体の1%くらいの割合だがな。
…胸クソ悪ィ話だが、トラウムが持つスペックの優劣、根本的な有無によって
差別意識が生まれるなんてケースもあるんだ」
「下卑た人間はどこにでもいるものね」
「トラウムの普及自体、歴史が浅いから、そう言う恥ずべき悪習が
世界的に拡散してねぇってのが唯一の救いかな。
そんなくだらねぇ真似しやがるクズを見つけたら、俺ならブン殴って説教するぜ。正座させてな」
「…歴史が浅い?」
「少なくとも創世神話の中にはトラウムは確認されなかったみたいだぜ。
いつ頃から人間に備わったのかは公式の記録には残ってねぇけどな。
神話の時代にゃ遺伝子情報を確認する術なんか存在してなかったしな。
もしかすっとミュータ因子もさ、最初から持っていたんじゃなくて、
歴史のどこかで、何らかの原因で備わったのかも知れねぇよ」
(…また思わせぶりなコト、言ってくれるじゃない)
(太マユひそめて考え込む光海も可愛いんだよなァ)





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