世界最強馬軍の内紛
群 狼 夜 戦
■概要 エンディニオン最強を誇り、領土拡大の侵略を繰り返してきた馬賊の勢力、 テムグ・テングリ群狼領の後継者争いに端を発する戦いである。 前頭目の急逝に伴う後継者争いそのものは既に決着がつき、 テムグ・テングリ群狼領の新頭目にはエルンスト・ドルジ・パラッシュが就任したのだが、 彼と争った異母弟の配下は、エルンストに従うことを潔しとせず、 その後も散発的に反抗を繰り返していた。 反乱軍を率いるのは、テムグ・テングリ最古参の一族の出身でもあるザムシードだ。 ゲリラ戦を展開しながら兵力を拡充させていったザムシードは、 佐志(さし)と言う貿易の中継地点へ軍を結集。 港町から離れた位置に広がる草原地帯・オノコロ原へとエルンスト本軍をおびき寄せた。 ■佐志の町 テムグ・テングリ群狼領の内部闘争決着の舞台となった佐志の町。 海洋貿易の中継地点として古くから栄えた港町だ。 郊外にはオノコロ原と呼称される肥沃な草原地帯が広がっており、 海産・農産両面で大いに潤っている。 豊富な食材を抱えていることから“エンディニオンの台所”とも呼ばれ、 一流レストランのシェフもわざわざ佐志産を選んで仕入れると言う。 背にした峻険な山々は天然の要害ともなっているが、 これに加えて海賊と言った外敵の攻撃から町を守る為に 沿岸部には防壁が幾重にも築かれている。 絶海の砦とも言うべき堅牢な防御力だけでなく 佐志の戦士たちはその戦闘能力にも目を見張るものがある。 海賊と言った外敵の襲来が繰り返されてきたこともあり、 佐志の住民たちは老若男女問わず高度な戦闘鍛錬を行っている。 海戦にも慣れており、リーダー格の少弐守孝(しょうに・もりたか)らは 外敵が接近すると直ちに武装した船で乗り出し、 波と潮を読みきって敵勢を翻弄、港町へ入れる前に撃沈せしめると言う。 優れた練度を持つ佐志の戦士たちを味方に引き入れることができれば、まさに百人力である。 また、エルンストの側には自主独立を保つ佐志を 示威行為によって支配下に置こうと言う目論見もあったようだ。 群狼夜戦とは一種の軍事パフォーマンスの要素も帯びていた。 ■鮮やかな奇襲戦 西軍…エルンスト軍(テムグ・テングリ本軍) 東軍…ザムシード軍(反乱軍) 合戦の舞台となったオノコロ原の俯瞰図。 フガク川の背後にある丘陵は数3メートル程度の高さで、緩やかな傾斜を描いている。 フガク川を渡河した区域の丘陵地帯。 この付近にも地下水脈へ繫がる洞穴が口を開けている。
鮮烈な奇襲を達成せしめた新頭目・エルンスト。 最小限の損害によって最大の効果を挙げたエルンストは、 戦後、ザムシードを特赦して自らの配下に迎え入れるなど反乱軍の吸収にも成功。 見事な政治力を発揮し、馬軍を統べる器を内外に示した。 この合戦はいつしか『群狼夜戦』と呼ばれるようになり、 エルンストが築く数々の功績の出発点として、 テムグ・テングリ内で永く語り継がれていく。 <戻る> |