創造の唯一女神 イシュタル ・初期設定資料画 ・武器設定資料画 |
人智の及ばない遥か彼方の時代に“外ツ国”より降臨したとされる、全生命の頂点に立つ存在。 自らの骨と血肉を削って生み出した八百万の子(=神人)に万物の創造を委ねると、 “約束の刻限”を大いなる夢の中で待つ為、神苑『ゲムゴゥ』にて深い眠りについたとされる。 一説には、この世界こそイシュタルの視る夢であり、“約束の刻限”を迎えてイシュタルが覚醒した時、 世界は跡形も無く消滅し、イシュタルが再び眠りに就くと同時に新生されると云う。 すなわち消滅と新生を永遠に繰り返しているとする説も唱えられているが、 真実は不明である。全ては女神のみぞ知る。 なお、イシュタルは『唯一女神』と継承され、女性体として象形されてはいるものの、 本来は実体を持たない思念体の様な存在であり、この教義は実は正確ではない。 永い年月の中、民間における信仰から性別が発生していったとされる。 遥か彼方の『外ツ国』では世界を滅ぼさんとしていた破壊神ドゥムジと死闘を演じ、 これを撃破することに成功したものの、 戦いの果てに地上の生命は殆どが死に絶えてしまったと言う。 その大戦の折にイシュタルや神人から選ばれたのがマコシカに伝わる勇者、 『ワカンタンカのラコタ』である。 “剣”、“盾”、“鎧”から成る三種の神器をイシュタルより授かり、 神人の協力をも得たワカンタンカのラコタは、 イシュタルに匹敵する破壊神ドゥムジとも戦い抜き、 戦後は世界の死滅に怯える人類を導いたとされている。 |
マコシカに伝わるおとぎ話 「女のズボラめし」 |
「あー、メシをつくるのもめんどくさっ」 今日のイシュタルは何にもやる気が起きず、朝からずっとゴロゴロしていたずらに時を消費していた。 今日「の」ではなく、今日「も」、と言うべきなのかもしれない。 神人の中でも最高の位置にいるにもかかわらず、彼女は世の中の様子に熱心になることもなく、 さりとて自分の役割に忠実であるというわけでもなく、 日がな一日「ヒマだー」と言うだけ言って、家の中でずっと寝そべっているばかり。 ボサボサの髪の毛とラフ(過ぎる)恰好で、他の神人がやってきたとしてもろくすっぽう相手もせず、 話しかけられたとしても生返事ばかりだった。 息をするのも面倒くさがっているような彼女ではあるが、それでも空腹になるのはいつものこと。 何も食べずにいるというものしんどいものだが、かといって料理するのも億劫だ。 そんなわけで、手近にあるものを使って簡単に作ろうというのが彼女の日常であった。 「つーか、何かあったかな。ご飯があればどうとでもなるっちゃなるんだけど」 飢えた獣が獲物を探すような動きで冷蔵庫のドアを開ける。 するとそこには冷凍保存されていたご飯と、いつからあるのかわからないが、 誰かが彼女におすそ分けした(ような記憶がうっすらと残っている)はずの牛肉の煮つけがあった。 「うん、これはナイス。ご飯の上に肉を乗せる。これだけでちょっとした御馳走じゃないの」 茶碗もどんぶりも流し台の上に転がったまま。いつからこうなっていたのかはとんと思い出せない。 そんなわけでイシュタルは適当にあった深皿の上に凍ったご飯をよそおい、まずは3分レンジで解凍。 程よく温まったご飯の上に牛肉を投下し、もう一度熱を加える。 それだけの簡単な手順であるが出来上がったものはそれなりの味になるだろう。 「んー、まあこれだけでもいいんだけどねえ。せっかく料理してやっているんだからもう少しくらい手間かけないと申し訳が立たないっていうかなんというかよねえ」 動作の仕手と受け手がよく分からない独り言をつぶやくイシュタル。 いつもビールくらいしか自分で入れない冷蔵庫であるが、誰かがやってくれば何かしら中身が増える冷蔵庫。 もうひと手間加えるとして、だったら他に何か使えそうなものは無いかとゴソゴソ冷蔵庫をあさる。 「固形コンソメと粉チーズか。これこれ、これですよ。何が『これ』なのか分からないけどさ」 洗ったのか洗ってないのか定かではない鍋のなかに水を少々張って火にかける。 そこへ固形コンソメを適量(分量は作る人のノリと勢いで決まる)投入。 コンソメが溶けて湯気とともにコンソメの風味が立ち上ってきたところで、鍋の中に先ほどのご飯をぶち込む。 そのまま強火でご飯をかき混ぜてまんべんなく鍋の中のご飯にコンソメの味をしみこませる。 色が変わってつやつやと輝くご飯を深皿に再度よそおい、その上に牛肉を乗せる。 さらにそこへ粉チーズを適量(分量はその場の雰囲気で決める)かけて、オーブンに投入。 しばしの間、特に何もせず魂が抜けたような状態で待つ。 チーズが溶けだして、上の方には焦げ目がついたところで器を取り出す。 「まあこんなところでしょ。我ながら手をかけてしまったわ」 ほとんど加熱しただけの料理だったが、イシュタル本人からしてみたら重労働であろう。 それはともかくとして、器から立ち上る湯気には香ばしい香りが何種類も立ち上ってきた。 スプーンですくって肉とご飯を一緒に口に中に放り込む。 ムグムグとせわしなく咀嚼して、熱さとともに一息で飲み込む。 「うん、これは美味い。ふはは、おぬしなかなかの腕前ではないか」 自分で自分をほめて満足するイシュタル。 ジワリとあふれ出てくる牛の油がコンソメのしみこんだご飯とよくマッチする。 じっくりと煮込まれたことでよく味の付いた牛肉が火を通したことで風味が増し、 それが焦がされたチーズの香りにまた合うのだ。 それらを一気にかきこむと香りのハーモニーが口腔を通って鼻腔に抜けてゆく。 腹が減っていりゃなんでも美味いが、これは減っていなくても美味いわ。いや、食欲をそそること。 とイシュタルはあっという間に平らげてしまった。 「あー、食った食った。でももう一品あったらいい感じかも」 丸一日、面倒くさいという理由で何も食べていなかった彼女は、 久々の食事をしたことでようやく中枢を刺激させられたのであろう、腹いっぱい食べたいという欲求がわいてきた。 それでは他に何かあったろうかと冷蔵庫だけではなく台所のあちらこちらをゴソゴソ探すイシュタル。 あれこれ探してみたところ、野菜スープの素(「お湯をかけてすぐ!」と書いてある)に餃子の皮、 その位であったがとにかく具材になりそうなものは見つかった。 「そんじゃまあさっそく取り掛かりましょうかね」 まずは先ほどコンソメでご飯を煮込んだ時に使った鍋の中に野菜スープの素を入れる。 味が混ざってしまうが二、三秒水洗いしたから大丈夫だろう、 と全く根拠のない理由で本人が納得しているのだからそこらへんは深く立ち入ってはならない。 フリーズドライの野菜がすぐに元に戻り、火にかけた鍋の中でキャベツや白菜が踊る。 そこへいつから使っていたのか定かではない片栗粉(というかでんぷん粉だが)を適量(細かい計算はしない)。 程よくとろみがついたところで餃子のタネがない皮をそのまま一枚一枚入れていく。 皮の色が変わるまでしばし一煮立ちさせる。最後に風味づけに萎びた唐辛子を細かく刻む、ことなく投入。 これだけで完成。 ワンタンスープ風の何物かを鍋から皿に移すことなく、そのまま箸を突っ込んでさっそく食べてみる。 「うん、これもなかなか。とろみの付いたスープにデロリとした餃子の皮が案外マッチするじゃない」 イシュタルは満足げに箸を進ませ、あっという間に平らげてしまった。 「あー、食った。これでまた明日への活力ってものが湧いてくるわ」 腹をさすって笑みを浮かべるイシュタルだった。 「明日への活力」と言ったのだが、実際のところ次の日も特に何も彼女はすることもなく、 「うえー、メシを作るのもめんどくせえええええ」と相変わらずごろごろしているだけだった。 ※注・ここに出てきた料理を真似してマズくても 当方は一切の責任を負いませんのであしからず。 |
教皇庁に伝わる神像 イシュタル様のオフショット ↑最近のお気に入りはI P○d |