アルフレッドを討て――密かに進む暗殺計画

「戦う力を持たないような弱い立場の人々を守る」と言う任務があった為、
スカッド・フリーダムは連合軍とギルガメシュの争いには直接は参加しませんでした。
難民たちを支援する事業を立ち上げるなど、連合軍にはできないことをしてきたのが
これまでのスカッド・フリーダムです。
アルフレッドが拠点としている佐志にも協力を持ちかけていました(シーズン1最終回)。
ところが、第22回終盤で事態が急変!
連合軍の作戦に関わってきたアルフレッドを「世界の秩序を乱す災いのもと」と危険視し、
刺客を差し向けてきたのです。
史上最悪のテロリスト、ジューダス・ローブを迎え撃つべく共同戦線を張るなど
アルフレッドたちとスカッド・フリーダムは友好的な関係だったのですが、
ここに至って全面対決は避けられない状況となりました。


発端は『史上最大の作戦』――

ギルガメシュに殺された同志のカタキを討つべくスカッド・フリーダム本隊から離脱し、
連合軍に加わったパトリオット猟班(※ジャーメインたちのチーム)。
このパトリオット猟班ともアルフレッドは同盟を結んでおり、
そのことでスカッド・フリーダム本隊の反感を買ったのか。
ところが、抹殺指令の引き金は意外としか言いようのないものでした。
武力決戦『両帝会戦』で一敗地に塗れた連合軍は、
主将を務めたエルンスト(テムグ・テングリ群狼領の御屋形様)の降伏をもってして、
ギルガメシュに恭順の姿勢を見せました。
もちろん、これはアルフレッドが立てた作戦のひとつ。
降伏したように見せかけて再起のチャンスを狙い、逆転を図るというものでした。
スカッド・フリーダムは『史上最大の作戦』そのものを危険視したのです。
全世界から武将たちが集まった連合軍は、それ自体が時代を動かす存在と言えます。
そのように巨大な存在がアルフレッド個人の意思で動かされていると
スカッド・フリーダムは考えていました。
しかも、アルフレッドは故郷を滅ぼされた復讐しか考えていないと誤解。
ただひとりの復讐のために連合軍が、時代が操られている――そのような事態を
「戦う力を持たないような弱い立場の人々を守る」スカッド・フリーダムが
見過ごせるはずもありません。
アルフレッドを独裁者のように見なした挙げ句、
正義の名のもとに抹殺指令を発動してしまったのです。

しかし、アルフレッドにとって『史上最大の作戦』は
ギルガメシュに逆転劇を仕掛けるためには決して外せないこと。
スカッド・フリーダムの主張に頷けるわけがありません。
両者の激突は、まさしく避けては通れないものでした。
スカッド・フリーダムの一員だったジャーメインも
「アルフレッドに命を奪われる理由はない」と激怒し、
かつての仲間に拳を向けることを決意。
ところが、襲来した刺客はスカッド・フリーダムの中でも
トップクラスの腕利きが揃っており、ジャーメインにも辛い戦いとなってしまいます。
テムグ・テングリ群狼領の猛将が味方に付いているとはいえ、苦戦は必至。
フィーナたちがいなくなった今、アルフレッドはかつてない危機を迎えます!


襲いかかる刺客はジャーメインの家族!

ヒロインのひとりであるジャーメインが
生まれたのは、
スカッド・フリーダムの重鎮として
君臨する名門、バロッサ家。
ジャーメインが隊の規律に背いて
脱退したことでバロッサ家は
立場を悪くしており、
その汚名返上のために
アルフレッド抹殺の刺客を
引き受けることになってしまいます。

ビクトー・バルデスピノ・バロッサ
ジャーメインの義兄。
イリュウシナと結婚し、
バロッサ家の入り婿に。

※バロッサ家の人々のキャラクターデザインは
ジャーメインと同じく神崎シキが担当。



イリュウシナ・バロッサ
ジャーメインの姉。
グンダレンコとは双子(姉)。
スカッド・フリーダムを裏切った
妹を憎んでいるように見えるが……?

⇒設定資料(表情集)
グンダレンコ・バロッサ
ジャーメインの姉。
イリュウシナとは双子(妹)。
ギルガメシュとの戦いで
婚約者を失っている。

⇒設定資料(表情集)
※画像をクリックすると神崎シキによるキャラクターデザインが表示されます。


スカッド・フリーダム内部に不協和音? 重要任務の最中にも混乱が……


アルフレッドを「世界の秩序を乱す災いのもと」として抹殺する決断を下した
スカッド・フリーダムですが、必ずしも隊内で意見が統一されているわけではありません。
そもそも、抹殺指令を強く推進したのは幹部のひとりでしかなく、
他の面々は「義のある戦いではない」と反対していたのです。
結局は強引に押し切られてしまいましたが、
「力弱き人々の護民官」として戦ってきたスカッド・フリーダムが
暗殺に手を染めることは誤りとする声は止まりません。
正義の名のもとに戦ってきた同志の間にも亀裂が走ります。




アルフレッド抹殺を押し通し、シルヴィオを重大な会合から弾いたのは、
スカッド・フリーダムの全ての戦闘を統括する要職、戦闘隊長。
以前はシュガーレイが務めていましたが、
彼が脱退した現在はエヴァンゲリスタと言う男に交代しています。
難民支援への参画を求めて佐志にも訪れたことがあるエヴァンゲリスタ。
「スカッド・フリーダムの闇を知る男」と呼ばれる新しき戦闘隊長の真意とは!?




父のイゴールは総帥補佐、祖母のノラは相談役として
スカッド・フリーダムを支えている

イゴール・バロッサ
ジャーメインの父。バロッサ家当主。
総帥が本拠地を離れている間は
スカッド・フリーダムの運営も預かる。
ノラ・バロッサ
ジャーメインの祖母(イゴールの母)。
古伝空手の使い手でもある。
スカッド・フリーダム結成にも携わった。
※画像をクリックすると神崎シキによるキャラクターデザインが表示されます。


スカッド・フリーダムの本拠地である
タイガーバズーカには
多くの武術家が暮らしており、
一種の修行地としても知られています。
しかし、住民全てがスカッド・フリーダムの
隊員ではありません。
以前とは変わってしまったとしか
思えないスカッド・フリーダムを
地元の人々はどのように見ているのか。
そうした人々の思いが抹殺指令に
何らかの影響を与える可能性も……?
ジャーメインの師匠……
ルシア・レッドウッド
スカッド・フリーダムには参加せず、
武術史の研究家として活動している。




ジークンドーVSケンポーカラテ
運命に導かれた大決闘!
アルフレッドの抹殺を請け負うことになったのは、
名門・バロッサ家へ婿養子に入ったビクトー。
彼が身につけた武術は『ケンポーカラテ』と呼ばれており、
実際にも『American Kenpo Karate』と言う名称で全米で愛されている。
このケンポーカラテの創始者はアメリカ武術界で最も成功したと謳われる伝説の男、
エド・パーカーである。
アルフレッドが身につけた『ジークンドー』とエド・パーカーの間には、
実は浅からぬ因縁があるのだ!


●第23回執筆担当:天河真嗣

以前にも特集記事でコメントさせて頂いたと思うのですが、
アルフレッドのジークンドーの創始者であるブルース・リーは、
アメリカの伝説的な武術家として知られるエド・パーカーに見出されて、
成功のきっかけを掴みました。リーにとってパーカーは大恩人なんですね。
ふたりは親しい友人同士でもありましたし、お互いを敬い合っていたようです。
武術家としても認め合っていたのでしょう。
なによりパーカーはリーのことを「世界最強の武術家」とまで絶賛したとか。
反対に、リーの側でもパーカーから学ぶことは多かったようです。
そのブルース・リーが作り上げたジークンドー(アルはアレンジも加えてますが)と、
エド・パーカーのケンポーカラテが全力でぶつかり合う決闘シーンが
第23回の最重要ポイント。この戦いを中心にプロットを組んでいきました。
執筆だけでなく殺陣の段取りも僕が担当したのですが、
ブルース・リーにもエド・パーカーにも深い思い入れがありますので、
「ケンポーカラテの研究の成果をここで使い切っても構わない!」と言うくらい
力が入りました。格闘戦中心のストーリー構成と言うこともあって、
これまでになく壮絶な戦いになっています。
また、激闘と並行して描かれるバロッサ家の人間模様も楽しんでいただければ、と。
フィーナが異世界に去った後のアルフレッドの心の揺らぎを掘り下げる上でも
バロッサ家の人々はキーパーソンとなりますので。