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作中に登場するアクションシーンを“殺陣”や“擬斗”と呼んで愛好し、
立ち回りの描写には並々ならぬ力を注ぐと言う天河真嗣。
軍師が主人公と言うこともあり、<トロイメライ>でも戦闘の場面が全編に亘って登場する。
製作総指揮と共にチームの殺陣・武術指南を自負する天河がこだわり抜いた
“<トロイメライ>流”アクションの作り方を特別公開!



殺陣好きは根っから―――
そもそも僕が殺陣にこだわり始めたのって、小・中学生の頃に書いてた漫画からなんですよ。
当時は「ドラゴンボール」や「るろうに剣心」と言った少年ジャンプのバトル系の漫画が大ヒットしていました。
ジャンプ漫画の洗礼を受けた天河少年も、自ずとそちらの描写を中心に描くようになっていって(笑)。
なにしろ一番最初に描いた漫画が「ウルトラマン」のパロディ。
それが確か小学1年生のときの作品なんですけど、最初から既に格闘アクションの面白さに魅入られていたわけです。
根っからとしか言いようがない(笑)。

父の影響で格闘技を学んでいたことも僕の中では大きいですね。
漫画、シナリオ、小説と色々な作品を趣味の範疇でやっていましたが、
数をこなす内に自分なりの方向性と言うか、既存する作品と区別する為の工夫が見えてきました。
「ドラゴンボール」や「聖闘士星矢」のように強烈な必殺技で
インパクトを受け手に与えると言う手法も面白いことは面白いのですが、
もうちょっとリアル指向で行こうかな、と。
必殺技を使うにしても、「○○は必殺技を放った。相手は吹っ飛んだ」と言う簡潔な文章で済ますのでなく、
どのような挙動から技に入り、どういう体勢からどういった特性を持つ打ち込みを繰り出したか、
それを受けた相手のダメージの度合い、さらには次なる攻守の展開等々をあえて細かく描写し、
闘いの臨場感へ表現の重点を置こうと考えました。
漫画的、ラノベ的なダイナミズムではなく、実際の試合運びに近い書き方ですね。
情報量を増やすことが必ずしも巧みな小説とは思いませんが、
一手一手を大切にすることは武道の理念に沿うものですし、
攻守の目まぐるしい入れ替わりや乱戦時の混乱を掘り下げた作品は実はそんなに多くない。
これは天河流として、一つの持ち味に出来るんじゃないか、と。
いや、もしかすると説明がややこしくなってストーリーの展開が鈍くなるから、
あえて誰もやらなかっただけかも知れませんけど(笑)。





打撃一つを取っても、足さばきや体重移動と言った要素が複合的に作用されますし、
打ち込みを終えた後、どのように体を動かして相手の反撃に備えるか…と言った具合に
スポーツで例えるところのフォロースルーまで気を配る必要がありますよね。
単純に「相手を殴った」では、打撃を加えた結果のみを示すだけで、
そこに生まれる動的な面白さはどうしても減じてしまう。
打ち込みを迎え撃つ側にも、相手の隙を誘う為の避け方や受け方など防御の工夫が当然あるわけです。
武道経験のある方はおわかりになると思いますが、
こうした駆け引きや、思考を超えて反射的に出る体の動き、技の発生は実戦に於いて最重要で、
その描写を突き詰めた先にリアルな闘いを書けるようになると僕は考えています。
殺陣を作る際には、自分の武道経験を惜しみなく盛り込んでいます。
基本的にはリアリティの追究なんですよ、天河流の殺陣って。
巨大ロボットに変身までなんでもござれのトラウムやレーザーバズーカにも変形するMANAと言った、
<トロイメライ>独自のケレン味を絡めつつも、
殺陣そのものは前述した通り、リアルな表現を大前提にして組み立てています。

実戦はそんなに美しく技が決まるものではありませんし、
命のやり取りともなれば、それこそ泥に塗れて汚れるような状態にもなるわけです。
ときには路上に転がっている物を投げつけたりするでしょう。
闘いの場となった地形や天候がどのように効果するか、
あるいは自分に利するように持っていくか………
生きるか、死ぬかのギリギリのせめぎ合いとでも言いましょうか。
持てる限りの力と技を尽くして、何が何でも勝つと言う気迫にこそ、
僕は闘いの凄みとか神髄が宿ると確信しています。

そのフォーマットを敷いた上で、全日本剣道選手権連覇を飾った高鍋進さんの太刀筋のような、
様式美すら感じる攻防を作り上げたいな、と。
また、ドラマ性を帯びた殺陣と言うことでは、バンツマ版の「雄呂血」にもかなり影響を受けています。
あれは本当に凄いです。殺陣のみで剣士の悲哀と嘆きを完璧に表現しておられました。
太刀筋ひとつにもストーリー性を乗せることができると幼心に度肝を抜かれまして、
以来、殺陣のひとつの完成型として「雄呂血」を目標にしています。

総括するならば、「美」と「醜」、「実戦的」と「様式美」の融合が天河流。
…あれ? これはつまり美味しいとこ取りってことじゃないのか(汗笑)。


武道を志す人たちのためにも手を抜けない―――

<トロイメライ>のスタッフの中には半券さんをはじめ武道経験者も多いのですよ。
もしかしたら本人ももう忘れているかも知れませんが、
半券さんと武術談義をした際に聴いた内容を殺陣の参考にさせてもらったりしています。
直接的には殺陣との関連は薄いのですが、剣道の監督をしている妹とも最近よく話をします。
一武道家ではなく、看板を背負って子どもたちに剣道を教える立場の考え方は、
必ず参考になるだろう、と。

半券さんとの武術談義とは別に、
<トロイメライ>を書くようになって格闘技経験者の話を参考にする機会が激増しました。
と言うのも、この企画を立ち上げたあたりから周りに武道経験者が急速に増え始めたんですよ(笑)。
物語環境開発を担当している栞さんも武術を習っていますし、
それこそ主人公・アルフレッドが使うジークンドー(正確にはジークンドーをベース+拳法全般)を
体得した方とも親しくなりました。
中国拳法に於いて重要とされる発勁・震脚の理論や専門的な知識、
力学的な根拠を教わる中で、どんどんアルフレッドの格闘スタイルに対する理解度が深まっています。
正直、最初から書き直したいくらい(笑)。
僕も拳法系では、独学ながら太極拳の心得があり、発勁の技法は参考にしていたのですが、
やはり長年鍛えられた方の見識は違いますね。
そうした方々に笑われないような、むしろ「よくぞこんなものをやったな!」と唸っていただけるような
殺陣を作らなければならないと言う使命感めいたものが僕の中にはあります(笑)。






コンセプトは異種格闘技戦―――
<トロイメライ>の殺陣を作る上で大前提となったのは、「異種格闘技戦」と言うコンセプトです。
それぞれ独特かつ強烈な個性を持った人物たちが競演する大規模な群像劇ですので、
殺陣の方向性もそこに寄り添い、異なる武術・格闘技同士のセッションを強く打ち出しています。
攻守の方法が全く異なる武術がぶつかり合うことで生じる化学反応を楽しもうと言うことです。
まあ、ポンとコンセプトを出しても、それだけでハイ書きましょうと言うことはさすがに出来ません(笑)。
今回は戦闘に従事するキャラクターだけでも百人近い。
なので、登場キャラクターの格闘スタイルは基本的に被ることがないように
注意して設定していきました。

刀剣を使うキャラでも、小太刀・打ち刀・太刀・騎士剣・レイピアとそれぞれの得物に応じて
戦い方を細かく変えています。
斬る・突くと言った攻撃の動作だけでなくどのようにして刃を振るか、
技で翻弄するのか、力で押し通すのか、また鍔や鎬での防御の仕方に至るまで
自分の経験だけでなく様々な資料を読み漁り、
またときには木刀等を使って実際に再現しながら研究を重ねています。

特にこだわったのは槍。
突く、叩くと言った動作のみで語られ、閉所では不利と言った描写が多いのですが、
実際には尖端を振り抜いて引き裂く・斬る、長い柄でもって相手を投げ飛ばすこともできます。
親交のある武術家に言わせれば、万能武器(彼が言うには、投網と三つ叉鉾が最強だそうです)!
長さや形状にも寄りますが、閉所で槍を使う場合、
その攻撃範囲の広さから相手に相当なプレッシャーを与えるもの。
決して一方的に不利と言うことはありません。
前述した刀剣と槍に加え、斧に弓矢と言った現代戦で否定されてしまった古式武器を積極的に採用し、
そのスペックを引き出して評価の復活に繋げたいとも願っています。
使い方次第では相手のプリミティブな恐怖感を煽り、戦意をくじくことだってできる。
古流武術が現代にも通じることをSF作品で証明するなんて、ちょっと面白いじゃないですか(笑)。

徒手空拳対武器の闘いには、“剣道三倍段”と言う言葉が示すように有利・不利がありますが、
ある一定のレベルを超えると互角の勝負となります。
徒手空拳の側も武器を持つことで発生する死角や弱点を的確に攻め、
リーチの差などに物ともせずに相手を圧倒するようになります。
その攻防がまた面白い。
ルールと言うか、システムに則ったゲームではなかなか味わうことのできない、
異種格闘戦ならではの駆け引きをかぶりつきで味わって頂きたいと思います。






バンツマの背中を追いかけて―――
「異種格闘技戦」と言うコンセプトは、<トロイメライ>のストーリーを作る上で念頭に置いた
「異文化同士の激突」も意識しています。
闘いに身を置く人間でも、育った環境や習得した武芸の理念、その人の気性によって
“闘い”そのものの捉え方が必然的に違いますよね。
技や武器を振るうことが、その人物にとってどのような意味を持っているのか、
そのあたりまでこだわって殺陣を作っています。
理屈で説明するのでなく、攻めの一手・防御の一手からその人物の理念が伝わってくるような、
かつてバンツマが示したような“ストーリー性を持った太刀筋”を
今後も追究していきたいですね。

殺陣を作ることは、簡単だと言えばウソになります。
古武術だけでなくボクシングやプロレスと言った近代発達した格闘技まで資料を集めて、
そこから更に新しい戦術や戦法を探っていくわけですから。
中にはサバットやムエ・カッチューアなど一般には馴染みの薄い格闘技も含まれています。
比較的、ガンアクションを作るのは楽かな。特にヒロインのフィーナ。
往年の西部劇で見られたガンアクションの美味しいところをこれでもかと詰め込みました。
なんと言うか、趣味に走ったとしか言いようがありませんが、
殺陣の研究は非常に根気のいる作業なので、たまにはこんな息抜きがあってもいいじゃないですか(笑)。
大変ではあるけど、それ以上に楽しいと言うのが僕の本音です。
僕自身、武道にスポーツにと、ずっと運動をやってきた人間。
肉体をフルに使って自己表現をする喜びは、人並み以上にわかるつもりです。

<トロイメライ>は、いよいよシーズン1の後半戦へ突入します。
これまで一対一の殺陣がメインでしたが、今後は多数対多数の全体戦も何度となく描いていくことになります。
複数のキャラクターによる連携攻撃や陣形を駆使しての戦いは、
まさに「異種格闘技戦」、「異文化同士の激突」の極致。
どんな複雑かつ高度な殺陣を作れるのか、腕が鳴ると言うものです。

現在は中盤以降のストーリー展開に合わせて防具を有機的に戦術へ組み込む方法を研究中。
いよいよ僕の本分である小具足術の要素が強まってきますので、
がっつり楽しんでいこうと思いますよ、ええ。
いずれにしても、さすが<トロイメライ>と喜んでいただけるようなクオリティを確保・維持するのが
僕にとって最大の課題です。





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