スタッフから見たクライマックス「両帝会戦」(1)
天河真嗣(前編)
〈トロイメライ〉の物語は、僕が高校のときに書き、
諸事情があってお蔵入りとなったRPGのシナリオ(※以下・原作シナリオ)がベースになっています。
これは、以前から折に触れて話していることですね。
実は原作シナリオ以外にも過去のアイディアを劇作のパーツに採用していたりします。
テーマなど核となる部分は原作シナリオのままですが、
それ以外の枝葉の部分は、閃きながらも陽の目を見なかったネタを栄養にして育てていきました。
言い換えるなら、一種の供養ですよ(笑)。
そのうちの一つが、ニコラス・ヴィントミューレたちアルバトロス・カンパニーの物語。
実際に執筆するまでには至らなかったものの、原作シナリオの続編(仮題は「2nd ALIVE」)として
ニコラスたちの物語を想定していました。
想定と言っても、アタマの中でボンヤリと思い浮かべただけなんですけどね。
おおまかには、ニコラスたちがふたつのエンディニオンを旅して回り、
世界の謎を解き明かしていくと言う内容です。
本作にも通じるあらすじですが、異世界ファンタジーを目指した原作シナリオの路線継承ですね。
続編と言うことで、アルフレッドやフィーナと言った主だったキャラクターも総登場する予定でした。
アルフレッドとフィーナに至っては、2nd ALIVE用の設定やキャラクターデザインまで起こしたくらい。
お察しの方もいるでしょう。
現在、僕らの制作している〈トロイメライ〉は、アルフレッドとニコラス、それぞれの物語を一つにまとめ、
且つ新しい形へとリボーンさせたものなのです。
ハイブリッドな〈トロイメライ〉とでも言いましょうか(笑)。
ふたつのエンディニオンと言う2nd ALIVE側の要素を原作シナリオに持ち込んでいるのも、この一環。
様々に足し引きをし、試行錯誤を繰り返しつつ本作のプロットを作っていきました。
スタッフからは「ニコラスのほうが正統派主人公らしい」と、よく言われますが、それもその筈。
ニコラスは〈トロイメライ〉と言う作品の純然たる主人公、その一員なのですから。
そんなわけで、僕にとっての「両帝会戦」とは、ふたつの作品の代表同士がぶつかる頂上決戦でもあります。
アルフレッドとニコラスの対決は、2nd ALIVEのあらすじの段階で漠然とは考えておりましたので、
ようやく夢の対戦カードが実現したな、と(笑)。