「勘弁してくれ…」


最悪の出逢いを経て半日、デュランの心境は最悪のドン底にあった。
何が悲しくて真夜中の、それも惑う螢火だけが唯一足元を照らすカンテラである闇の森林を、
歩き通しで疲れた身体を押して走らなければならないのか。

事の発端は、つい一時間前に遡る。
依頼主・リースが目指す聖都へ【フォルセナ】から向かうには、
まず“亡き大河の一雫”と呼ばれる干上がった滝を上方に仰ぐ洞窟を抜ける必要がある。
【フォルセナ】からここまででおよそ半日。
“亡き大河の一雫”へ続く連絡通路“黄金の街道”の中継地点、
小村アストリアへ到着する頃にはすっかり落日し、野宿の危険性も踏まえて、
この村に宿を取る事に決定したわけだが――


「あのお嬢様、なんでもかんでも無茶が過ぎんだよ…ッ」


――宿を取って落ち着くまでにデュランはかなりの骨を折っていた。

“黄金の街道”でモンスター――ウェアウルフの襲撃に遭った折には、
護られる対象である筈のリースが先陣を切って飛び込み、
銀槍と魔法でもって、デュランのツヴァイハンダーが閃く前に一網打尽にしてしまった。
敵の動きを見極め的確な技を振るう槍も一流だが、魔法一つ注視しても、
一般的に普及するそれでなく、レイライネス(精霊戦士)と呼ばれる者にのみ許された秘術を操ったのだ。

【イシュタリア】に普及する魔法は、精霊を体内へ憑依させる事で様々な奇蹟を起こす、
【プロキシ】と呼ばれる手順を踏んで初めて操る事が可能となる。
しかし、リースは精霊自体を直接使役し、【プロキシ】に必要な詠唱や韻を組む事なく即座に、
しかも純度の高い魔法を自在に操ったのだ。
背後から迫り来る数匹のウェアウルフを、いつの間に召喚していたのか、
サラマンダーの炎が焼却した時などは、自分が護衛する必要性を疑問に感じてしまったくらいだ。

リースの無茶は戦闘に留まらず、翌日に備えてアストリアに宿を取るとのデュランの提案に対しても発揮された。
「少しでも時間が惜しいので野宿します」と突っぱね、危険極まりない夜の街道を急ごうとするなど、
無茶を通り越して、無謀な駄々を捏ねられたのだから、デュランもたまったものではない。

なんとか宥めすかして宿を取る事に治まった矢先、今度は亡霊騒ぎである。
アストリア南方の“螢火惑う森”へ夜な夜な亡霊――レムルースが出没し、畜産や旅人を襲撃しているという。


「今から行って、その亡霊を退治してきます」


これにはデュランもさすがに「アンタは自分の状況がわかってんのかッ!!」と怒鳴りつけた。
デュランには、リースが聖都へ向かう理由など知った事ではないし、興味すら湧かなかった。
護衛を付けてまで聖都を目指すのならば、その目的を達成する最善の策を取るのが常識である。
それなのに、いちいち無茶を押し悪い状況へ、この依頼主は自ら降りていく。
愚直という他無かった。


「だーッ、もうッ!! わかった、わーったッ!!
 俺がなんとかするから、アンタはとりあえず動かないでくれ、頼むからッ!!」


いくら怒鳴っても聴かないリースに業を煮やしたデュランだったが、
依頼主を殴って黙らせるわけにはいかない。相手が女性なら尚更だ。
「朝一番で傭兵仲間へ亡霊退治の依頼を出しておく」と妥協策を提案、
なんとかリースの説得に成功し、深夜を過ぎた頃、ようやく就寝――とは問屋が卸さなかった。


「護衛付けてる人間が単身突っ込むか、普通ッ!?」


これまで悪辣な依頼主は数多く見てきたが、ここまで最悪なケースは無かった。
依頼主自らが率先して危険へ飛び込んでいくなど前代未聞だ。
これなら高みの見物を決め込まれた方がまだマシである。
デュランが気取られぬよう、独りで宿を抜け出し、亡霊の地縛する“螢火惑う森”へ向かってしまったのだ。


「――バカじゃねぇのか、アンタッ!!」


心配した宿の人間からその事を聴くや否や、
慌ててツヴァイハンダーを提げてリースの後を追うハメになったデュランの腹の中は、
呆れと憤りとでグチャグチャだった。
森の最奥で半実体半思念体の球状亡霊・レムルース相手に苦戦するリースと合流したデュランは、
勢いよく射出される、陽炎のように揺らめく触手から依頼主を庇うのと同時に怒号を張り上げた。


「護衛付けるって事は、それなりに危険な理由があるんだろうがッ!?
 なのになんで単独で動こうとするんだッ!?  なのになんで俺に声をかけねぇんだッ!?
 こんなところ狙われたら、アンタ、一たまりもねえだろうがッ!!!!」
「――あなたはこの一件に対して否定的でしたから、
 声をかければ押し止められると判断しました」
「当たり前だッ!! 俺はアンタの護衛だぞッ!?
 依頼主がみすみす危険に向かっていくのを黙って見ているわけにはいかねぇッ!!」


四方から襲い掛かる触手を旋回させたツヴァイハンダーで強引に薙ぎ払い、
電撃的に本体めがけて駆け込んだデュランは、再び伸ばされた触手をジャンプで回避し、
急降下の勢いを乗せた重撃でもってレムルースを真っ向両断に斬り捨てた。


「デュランさんっ!」
「――チッ、るせぇなッ、わかってるッ!!
 こいつぁ、だいぶ厄介じゃねぇか…!」


デュランの重撃をもって勝敗が決したかに思われたが、
左右に両断されたレムルースが激しく蠢き、両断された左右がそれぞれ個別に意思を持って攻撃を再開したのだ。


「分裂しやがるとはしつこい野郎だぜ…ッ!
 アンタの魔法でどうにかならねえか?」
「自慢の巨剣をもってしても、どうにもなりませんか?」
「皮肉なら後で付き合うけどよ、今は死地に活路を見出すのが先決だろうが。
 …もともとアンタが撒いた種だ。自分でケツを拭ってもバチは当たらねぇと思うぜ?」
「護衛が依頼主を頼るなんて、聴いた事がありません」
「依頼主が護衛を置いて単独突撃するなんて話、俺も聴いた事がねえよ」


レムルースが二体へ分かれた事で攻防は更に激化したが、物理攻撃が増殖を招く以上、
デュランのツヴァイハンダーは役に立てず、それはリースの【ピナカ】にしても同じ事だ。
ならば頼れるのは、魂そのものを破壊し得る魔法しかない。


「デュランさんは、この亡霊がなぜ生命あるモノを襲うか、わかりますか?」
「さあな…さしずめ、生きている奴らへの恨み辛みじゃねえか?
 無念のうちに死んじまった奴にとっちゃ、生物は憎たらしくて仕方ないだろうからな」
「幾たび斬られても分裂し、増殖し、生命を侵す…。
 亡霊の嘆きは果てしなく続きます。
 永遠に続いて、全ての生命が絶えた時、初めて自分たちの犯した過ちに気が付く…」


触手からの防御をデュランに任せ、一足飛びでレムルースの攻撃範囲を離れたリースは
瞑目して精神を集中させ、銀槍を天に向けて翳した。


「謂れ無き怨念から生きる人を護りたい…。
 けれど、それ以上に、没して後、なお死者を嘆きに染まらせたくありません。
 だから、今、ここでその怨嗟を無窮の地縛から解き放ちます…っ」


リースの意思に共鳴するかのように銀槍【ピナカ】が輝きを放ち始め、
穂先には、世界の【光】を司る精霊“ウィスプ”が姿を現した。


「――【アドナイ・メレク・ナーメン(平等たる裁きの浄光)】ッ!」


真言と同時に“ウィスプ”が光爆し、“螢火に惑う森”を浄化の輝きが包み込んだ。
“ウィスプ”の放つ光に怯えていたレムルースだったが、優しき輝きに抱かれて
現世への恨みから解放されたのか、輝きが鎮まる頃には、跡形もなく昇天していった。


「終わりましたね…」
「終わったも何も、アンタが勝手なマネしなけりゃ、
 厄介事は何にも始まらなかったけどな」


激闘が集結した森は、再び螢火だけが惑う静寂さを取り戻した。
いささか無茶な成り行きではあったものの、二人の活躍によって、
今後、アストリアの人々が亡霊騒ぎに悩まされる事は無くなるだろう。


「無念のうちに…と先ほど仰いましたが、あなたはこの地縛霊について、何かご存知なのですか?」
「ご存知も何も…この辺りは5年前の【パンドーラの玄日】から落ち延びてきた敗残兵が
 『もう、ここでよい』と割腹して果てた事で有名だ。
 概ね、何かの拍子でその亡霊どもが意思を持って暴れ出したんだろうよ」
「【パンドーラの玄日】…?」
「まさか知らねぇのか!? 世界的な大事件だぜッ!?」


「どんな箱入り娘なんだよ、アンタ」と目を丸くするデュランだが、
何事かと首を傾げるリースの様子は、とても冗談で茶化しているようには見えない。
そもそも、世界的な惨事を茶化すなど、礼儀を重んじるリースには考えられないのだから、
【パンドーラの玄日】とはいかなる事件なのか、本当に知らないのだろう。













螢火が淡く足元を照らすアストリアへの帰路の道すがら、
【パンドーラの玄日】にまつわるデュランの講釈が始まった。


「…【パンドーラの玄日】ってのはな、
 その名の通り、【パンドーラ】って王国で起きた一大クーデターだ。
 世界各国の首脳が一堂に会する円卓会議(サミット)ってのがあるだろ?
 そのサミットが、【パンドーラ】で開催された時に悲劇は起きた」
「………」


デュランにしてみれば常識以外の何物でもない事件だが、
この世間知らずのお嬢様にしてみれば、初めて出会う歴史の碑文である。
興味津々といった眼差しで見つめられ、注目される事を苦手とするデュランは
唇をへの字に曲げ、仏頂面を作って講釈を続ける。


「パンドーラ王国の若手将校らが武力蜂起し、
 サミットに集った首脳陣を――根こそぎ暗殺しちまったのさ」
「………………」
「将校らの目的は、【アルテナ】の一極支配的な社会を突き崩す事。
 当時の【アルテナ】王女と、それに付き従う諸王を見せしめに暗殺する事で
 志を果たそうとしたんだな」
「――ッ!? 【アルテナ】へ反逆したんですかッ?」


世界の理たる魔法の研究によって発言力を強めた【アルテナ】は
民主社会の趨勢を決定付けるサミットのイニシアチブを掌握し、
事実上、一極支配的なリーダーとして君臨し続けてきた。
時として、自らの意に沿わない国家を『民主社会の悪』として侵略し、
滅ぼすまでに加熱した【アルテナ】への権力集中に不満を持つ者は決してマイノリティではなく、
【パンドーラの玄日】は、そうしたレジスタンスの暴発が招いたクーデターだった。


「首謀者はディラック・ベルトルッチ。
 当時、パンドーラのカリスマとまで呼ばれていたホープだ。
 絶対的なカリスマ性に裏打ちされた首謀者の志に、多くの兵士が賛同し、クーデターは起きた。
 成功したかに見えたクーデターだったが、国家間を超えた取締りによって将校らは次々と討伐され、
 最後に残った連中も、この森で最期を迎えた。
 …これが【パンドーラの玄日】のあらましだ」
「………………」


国家間をまとめ、反逆者を一掃せしめたのは、現【アルテナ】女王にして、
当時まだ王女の階位に座していたヴァルダだった。
現在において“理の女王”として、民主社会に“英雄王”と並び称されるヴァルダのこの働きにより、
ますます【アルテナ】は世界のモラルリーダーとして発言力を強める成果を挙げたのだから、
【パンドーラの玄日】の結末は、全くもって皮肉な幕引きであった。


「まあ、【アルテナ】はそれまでさんざん汚いコトをやってきたんだから、
 クーデター起こされて痛い目見るのも、仕方無かったんじゃねぇか?
 …民族虐殺なんてトチ狂った事やっちまうくらいだ。
 扇動するバカも、それに賛同するバカも、くたばった方が世のためだわな」


一極支配の大国への、【アルテナ】への反逆というキーワードに
複雑そうに表情を歪めたリースの様子に気付く事なく、デュランが続ける。


「…デュランさんは…」
「あん?」
「デュランさんは10年前に地図上から消えた【ローラント】という集落をご存知ですか?」
「………その事件だって、誰もが知ってる常識なんだけどな。
 特に【フォルセナ】の人間にとっちゃ」
「………」
「民主社会へのクーデターを企んだ悪の枢軸【ローラント】を、
 【フォルセナ】精鋭の黄金騎士団が攻め滅ぼしたんだ。
 地元の人間が誇りに思うのは当然だろうよ」
「………………………」
「当然のように喜ぶから、これほどムカつくモンはねえんだよ…ッ」
「え………………っ?」


今度はデュランが表情を濁らせる番だった。
胸の奥に渦巻く怨嗟をぶちまけるに、呻きながら言葉を吐き出した。


「凱旋した騎士共は、どいつもこいつも英雄気取りさ。
 世界中から注目されて、関係ない一般人まで英雄気取り。
 ………世間は悪の枢軸を叩いたなんて褒め上げるが、
 奴らのやった事は、かさぶたをひっぺ返せば民族虐殺じゃねえか…ッ」
「デュランさん…」
「騎士を名乗る人間が、市民の護衛官が虐殺? …ふざけんなッ!!」
「………………………」
「俺はよ、この世で騎士サマって人種が一番嫌いなんだよ…ッ」


世間には祖国の誇りとされる騎士たちの働きを全否定するデュランに驚いて見上げたリースの瞳には、
やり場のない憤怒を全身から燃え立たせる彼の横顔が映った。
沈黙に支配された森には、デュランの左腰に封印されたモノが、
くぐもった金属音を響かせるばかりだった。













それから両者ともに言葉なく黙々と夜道を進んでいると、程なく町の灯りが見えてきた。
深夜にしてはやけに灯りが多い。
おそらくは亡霊棲む森へ乗り込んだ自分たちを心配し、
出迎えての用意を整えてくれているのだろう。






(出迎え…か。あるいは死体の引取りをどうするかでモメてるとか、な)






「あの…デュランさん」
「…んあ?」


屈折な邪推を巡らせていたところへ不意に声をかけられたデュランは
気の抜けた返事でリースを振り向くと、そのまま閉口し、固まってしまった。
そこには、深々と頭を垂れる依頼主の姿があった。


「今晩は軽率な行動を取ってしまって、申し訳ありませんでした。
 それと…ありがとうございました。
 デュランさんが駆けつけてくださらなければ、
 今、こうして笑顔で無事を確認する事もできなかったと思います」
「…無謀を承知で突貫したんなら、余計にタチが悪ィんだが…。
 こんなのは二度はゴメンだからな、お嬢様」
「…善処します」
「…善処でなくて、二度とやらないと改めてくれよ…」
「お約束はできません。
 困っている人は何を置いても助けるように教わり、
 これまで育ってきましたので」
「…そりゃ、もう、一種の“環境の犠牲者”だぜ…」


これ以上言い合っても無駄だ、と判断したデュランは、
本日何度目かわからない溜息を吐き出し、げんなりと頭を掻いた。
付き合いは半日にも満たないが、このお嬢様の頭の固さと無謀さだけは
世界中の誰よりも理解できた。それならば、言い争うだけ時間の無駄。
善処だけでも大きな前進と受け止めて自分を納得させるしかない。


「でも、ご迷惑おかけした分は謝礼に上乗せさせて頂きますので…」
「いらねぇよ、そんなもん。迷惑料も仕事の中に入ってる」
「それでは私の気が治まりません。
 危地を助けて頂いたお礼がしたいのです」
「あー…だったら…その畏まった口調、やめてくれねぇか?
 オッサンの前でも言ったと思うが、畏まったモンって苦手なんだよ」


執拗に食い下がる依頼主の熱っぽい眼差しから顔を背けて、ボソリと呟く。
少なくともこれからしばらくの間、旅を共にする人間に、
いつまでも他人行儀な態度を取られては、精神的にも疲れてしまうのだ。
必要最低限の金銭にしか頓着の無いデュランにとっては、
むしろ仕事のし易い環境がなによりの報酬だった。


「それも善処します。
 生まれてこれまで、この話し方で通してきたので、
 急に変えろと言われても、おそらく無理だと思いますから」
「…手前ェでお礼がどうのとのたまっておいて、今更『善処します』かよッ!?」
「あ、でも…」
「あぁ?」
「…“デュラン”って呼ぶくらいならできると思います」


「堅苦しさは煩わしい」という以外の他意はデュランには無かったのだが、
リースには殊更に嬉しかったのか、意味もなく『デュラン』と笑顔で繰り返した。
それは、【フォルセナ】から真夜中の騒動へ至るまでの中で、リースが初めて見せた笑顔だった。


「………世間知らずの箱入り娘にはその辺りが限界か。
 ま、俺にとっての報酬としちゃあ、
 カネなんかよりもよっぽど価値があるぜ。
 仕事のしにくい環境ほど辛いもんはねえからな、お嬢様」
「――“リース”ですっ」
「はあ?」
「私がデュランってお呼びするのですから、
 あなたもお嬢様ではなく、“リース”と呼んでください。
 でないと不公平です」
「不公平って…。
 おいおい、こいつは報酬じゃなかったのかよ…」
「それでも、ですっ」


そこまで言って、ハタと思い出した。
このお嬢様の頑固さは、どんな言葉を持っても動かしがたいものだ。
ならば、最早、何を言っても覆るまい。


「………ったく、一ヤマ終えてまでくだらねぇ諍いさせんなよな…。
 オラ、さっさと帰んぞ、………リース」
「はいっ、デュランっ」


諦めたように深々と溜息を吐くデュランと嬉しそうなリースを
暖かな町の灯が出迎えた。













「いやはや青春ド真ん中ってカンジだねぇ〜」
「初々しいじゃあ〜りやせんか」
「オウさッ!!!!」


二人が去った後を、“螢火惑う森”の中でも一際高い雑木から見下ろす三つの影。
月の無い星空に浮かんだ影は、闇を翔ぶ鴉が獲物を狙うような鋭い眼光で
アストリアの町へ消えたデュランとリースの足跡を追い続けていた。


「で、どうしやす、ホークアイの兄ィ?
 このまま一本立ちでピーピングですかい?」
「…バカ言うなよ、こんなトコロで夜明かししたら、おたふく風邪じゃすまないぜ。
 とりあえずアストリアへ潜り込む。
 今夜はヤツらも動かないだろうから、“仕掛け”に移るのは明朝だ」
「兄ィの気の向くままに」
「よし、ビル、ベン、行くぜッ!」
「オウさッ!!!!」


ビョウ、と烈く風が吹いて木々を揺らしたかと思うと、三つの影は闇に溶け、
そのままいずこかへと掻き消えた。





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