どうもお久しぶりでございます。
制作総指揮などと大袈裟な肩書へいまだに慣れないちゃらんぽらん、
天河真嗣でございます。
今週をもちまして、〈トロイメライ〉シーズン1の掲載スケジュールを
無事に満了することができました。
これもひとえに温かい応援を賜った皆さまのお陰と存じます。
誠にありがとうございました。

シーズン1のスタートは2011年。この年は忘れがたい東日本大震災がありました。
東北に暮らすスタッフも被災し、震災発生後の数か月、
一時的に掲載を中断すると言う措置を取らせていただきました。
掲載スタートからシーズン1完結までのおよそ三年は、
制作総指揮を担当する僕自身も色々なことを考えさせられる節目となりました。
三年の内の僅かな期間、ほんの少しだけスランプに陥ったのもきっかけでしょう。
被災した人や土地へ寄り添う表現やクリエイティブの在り方にも迷いました。
壮絶な状況を反復させるようなストーリーやシーン構成の是非を巡り、
スタッフと衝突したこともあります。それも、一度や二度ではありません。
今だからこそ話せることですが、一昨年から去年の今頃にかけて、
制作総指揮の降板(これは僕の断筆も含んでいます)や
シーズン1での打ち切りなど様々な選択肢を考えておりました。
先日掲載したコーナーでは面白おかしくお話しさせていただきましたが、
降板と断筆はギリギリまで真剣に迷っていました。
悩みに悩み、苦しみ抜いた三年間だったと、今、振り返っています。

その果てに行き着いたシーズン1の完結と、シーズン2への飛躍。
僕の口から言えることは、ここまで一緒に戦ってきたスタッフと、
応援してくださった皆様への感謝しかありません。
ストーリーやテーマの発展は色々とありますが、
僕にとってのシーズン2は「恩返し」と言うことになるでしょう。
只今、シーズン2に向けた準備が急ピッチで進められております。
新規キャラクターの設定資料やそれに要する検証、ロケハンなど、
途方もない作業量と格闘する毎日です。
シーズン1が終わったら一か月くらい充電期間があるかと思ったのですが、
それは甘い見込みでありました。激甘も良いところでした。
一日あたり三十分くらいクロノトリガー(アプリ版)を進めるのが
ささやかな楽しみ。盆栽いじりみたいなものですね。
タイトとしか言いようのない逼迫した状況でも踏ん張っていられるのは、
やはり「恩返し」と言う軸が出来たからでしょう。
そう言うわけで、天河はシーズン2でも制作総指揮を務めさせていただきます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

それにしても、シーズン1完結って言うのが、未だに実感湧かないんだよなぁ。
とっくゴールテープを切った筈なのに、まだトラックを走り続けているような感覚。
ワーカホリックの典型ですね。ちと違うか。
ようやく立ち止まって辺りを見回してみると、
いつの間にか、大河ドラマも「江〜姫たちの戦国」から「軍師官兵衛」に
変わっておりました。
戦国時代が終わったと思ったら平安時代に遡り、
それから一気に下って明治維新を見届けたかと思いきや、
またしても戦国時代にお出迎えされると言う。
なんとも目まぐるしい三年間でございました。来年また明治維新だっけ? 
……いや、なんでもかんでも大河ドラマに例えるなって話ですが。
〈トロイメライ〉はシーズン2でも大河小説路線を貫きたいと思います。
志は高く。でも、それに潰されないよう何事も楽しく。
そんじゃ、またちょっと長距離マラソンに出かけてくるですよ。

(2014年3月20日 天河真嗣)





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