カンピラン・コーマック・バスターアロー Campilan Cormac Busterarrow

トルーポの妻。ゼラール軍団がその名を轟かせることになった海賊討伐事件において、
ゼラールたちと死闘を繰り広げた若き女海賊でもある。
彼女が率いる大海賊団「ペガンティン・ラウト」は、
テムグ・テングリ群狼領に匹敵する歴史を持っており、本来は貿易で生計を栄えた海の民族であった。
しかし、テムグ・テングリ群狼領との長い抗争の中で海賊化せざるを得なくなってしまった。
それ故にテムグ・テングリ群狼領に対する恨みは深い。
ゼラールは海賊討伐と言う戦いを通して憎しみの連鎖を断ち切り、
海賊団をその傘下に収めたのである。
以降、テムグ・テングリ群狼領の意向を無視した密貿易で財力を蓄え、
ゼラール軍団をバックアップする。
トルーポとの婚姻は政略的なものであり、夫婦間に愛情はあるが、接し方は同志・仲間に近い。
男所帯で生まれ育った為か、性格は至って豪胆。
エルンストすら恐れずに密貿易を繰り返すしたたかさも持ち合わせており、ゼラールからの信頼も厚い。
対するカンピランは、海賊たちを率いる立場もあり、
心酔こそしているものの、ラドクリフやピナフォアのように盲信と言うわけではない。
波長が合ったピナフォアとは親友同士。

一生を海の上で暮らす民族の出身者だけに感覚神経が常人とはかけ離れ、
これを操船技術にも生かしている。
「タイガーフィッシュ」なる銘を持つ海賊刀の使い手だが、
正規の剣術を習った経験はなく、実戦を潜り抜ける内に編み出した我流喧嘩殺法である。
トラウム不適合者。

------------------------------------------------------------------------

製作総指揮:天河真嗣によるコメント
カンピランと言うよりは、彼女が率いる海賊団そのものが
ゼラール軍団の権力基盤やテムグ・テングリ内部での武功を強調する為に作られた設定です。
騎馬軍団にも拮抗し得る特殊性の強い大軍団かつゼラール軍団にはない強さを補うのは、
果たして何ぞやと頭を捻ったとき、すんなりと海賊団と言う案が出て来ました。
そこからゼラール軍団内部での人間関係などを詰めていき、
「ゼラールに媚びない立ち位置」と言うこれまでにないキャラクタリスティックが生まれたわけです。
直接的な戦闘能力と言うよりは機動力や財力の確保と言う部分が重要ですよね。
ゼラールは独立独歩で突き進むわけですが、これを実現し得る活動資金は必要不可欠。
軍団にとっては、まさに縁の下の力持ちです。
カンピランのキャラクターデザインはムツさんに全て担当していただきましたが、
幸いにもデザインが先行したので、これを本編に落とし込んでいくのが楽しかったです。
「ターバン」、「ダメージド」、「統一感のなさが個性」などのキーワードは、
やがてペガンティン・ラウト全体のビジュアル・イメージとして昇華されました。
余談ですが、キャラクターデザインを詰めるに当たって、
腹部のボリュームアップをしてみようと腹巻状の防具を提案したのですが、
これは某海賊漫画のキャラに被ると却下されました(笑)。

ネーミングの裏話は、実はあんまりないんだけど、
剣を使うキャラクターにイメージに合う武器の名称を当てはめると言うお約束を踏襲。
カンピランもボルネオ伝統の刀剣の名称からの引用です。
ミドルネームのコーマックは、実在した女海賊アン・ボニーの本名から拝借を。
彼女の設定を作り始めた時分は色々と余裕がなかったこともあって、
なかなかネーミングには苦戦しました。いわゆる、開発時のコードネーム(仮題)は、
最終的に彼女の父親(先代頭目)の名前となりました。

ものすごく個人的な話なんですけど、ペガンティン・ラウトの海賊たちは、
大昔にやっていたアニメ「小さなバイキング ビッケ」のイメージです(笑)。
いつもながら今の若い子を置いてきぼりにしたチョイスですが、果たして気付く人はいるのだろうか。
武器として剣を使うけど、剣術の使い手ではないと言う設定は我ながら気に入ってます。


ラドクリフ ・ ゼラール軍団トップ ・ ゼラール


イラスト:ムツ