■あらすじ


■企画概要

■世界観の背景

■正式タイトル発表に寄せて


トロイメライ
〜その声を忘れないから〜
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■正式タイトル発表に寄せて…

骨肉相食む「戦い」のドラマ―――
・企画と原作/執筆、制作総指揮:天河真嗣


前作【フェイク・オア・フェイド】からおよそ二年。
これまで<フェイク2>と仮題してきたタイトルをようやく正式な名前で呼べる日が訪れました。
ドイツ語で夢や幻想を意味する<トロイメライ>。
これが我々のお送りする新しい作品の正式タイトルです。
小説、イラスト、設定資料………様々な角度からひとつの作品を完成させるという
【フェイク〜】スタイルで挑戦する新タイトルは、前作のような二次創作ではなく、
完全オリジナルストーリー。
僕が高校生の時分に考えたお話がベースになっている為、
今回は制作総指揮の他に原作という肩書きを頂戴しております。

<トロイメライ>の雛形を考えた当時の僕は、世の中の動きについて実に鈍感でした。
政治や経済に興味はあるけれど、専門的な資料を読むには勉強が足りず、
勉強しようにも何から手を付けて良いのか、まるで分からない状態で。
頭の鈍い僕の参考資料と言えば、もっぱら政治とその内幕を扱ったテレビドラマや戯曲。
難解な用語や社会の仕組みも無味乾燥な説明文の羅列でなく人間対人間のドラマとして見れば理解し易く、
結果、どんどん政治の世界へのめり込んでいったのです。
学んだのは政治だけではありません。
専門書に学ぶのは敷居が高くても、エンターテインメントの中へ織り込めば、
どんな難問も必ず心に響くということを教わりました。

今回の<トロイメライ>は、一人の青年軍師を主人公とした軍記ものであり、
同時に難民という複雑な問題へ主軸を置くポリティカルアクションでもあります。
当然、政治的・社会的なテーマがストーリー上で語られる機会は多くなりますし、
どうして難民が生まれてしまうのかという根源的な病巣についても深く掘り下げていきます。
難民の発生とそれに端を発する紛争や暴動に至る背景も、政局の混沌や経済の構図などを交えて生々しく描き出します。
社会問題を扱う作品は、とかく複雑で難解で、とっつき難い印象を与えがちですが、安心してください。
<トロイメライ>は、あくまでもエンターテインメント作品に徹していきます。
笑いもあれば、涙もあり、天河作品お馴染みの合戦シーンもある。
登場キャラクターもストーリーも全てが人間臭い娯楽作品を僕らは作っています。
その上で社会的な課題である難民事情を正面から見つめ、
一種のヒューマンドラマとして完成させようと言うのが企画スタンスです。
かつての僕自身がそうやって学んだようにエンターテインメントの中へ
人間として考えねばならない問題を織り込み、皆さんの心に響かせたい、と。

また、タイトルにも冠している通り、この物語は見果てぬ<夢>を抱いて動乱の時代に立ち向かう人々の、骨肉相食む「戦い」のドラマにもなっています。
<夢>をテーマの一つにしていながら、魔法ひとつで願いが叶うファンタジーとは
正反対のベクトルを取っているのも特徴。
「生きることは、夢を往くこと」。作品全体のキャッチコピーにも使用しているこのフレーズは、
まさしく<トロイメライ>で言うところの<夢>を象徴したものです。
<夢>とは漫然と貪るものじゃないんだ、と。カッコ悪いくらい懸命にもがいて、足掻いて、
泥まみれになって生きて、初めて叶えられるものなんだ、と。
政治不信やどん底の不況が続く今こそ、僕らは懸命に生きて、<夢>を見つめ続けなければならない。
どうしようもなく過酷な時代でも決して諦めず、そのうねりの中に希望を求め続ける人々の生き様は、
必ず現実世界に通じるのでは―――。
そこに思いが至ったとき、僕は<トロイメライ>を完成させることの本当の意義を見出しました。

完結のその瞬間(とき)、読んでくれた方の胸の奥に熱い何かを灯せることを願い、
スタッフ一同、<トロイメライ>という決戦場へ全身全霊で臨む所存です。
何卒、お付き合いの程をよろしくお願いいたします。


「子供」で溢れた世界の病理―――
・クオリティマネージャー、執筆:激々極々

物書きとしては『戦国桃太郎』以来のことでありまして、求められるものの質が
けた違いと言うべきか、何と言うべきか、とにかく自分には荷が重いところではありますが、
でき得る限りのことはしていこうと決意しました。はい、決意はしました。

今回のメインテーマは難民問題ということですが、現実社会でもこれは非常に深刻な
問題でありまして、こういったことを扱うのは私の力量的にも難しいことです。
そもそも何故難民問題が起こるのかといえば、それは難民を生じさせる争いがあるわけで、
じゃあ争いを無くすために人間を無くしちまえ、なんて無茶な結論で幕を下ろすわけには
いかないのが悩ましいわけです。
自己と他者の間にある文化・思想などの違いが争いの元になるのだとしたら
全てのものが混ざり合って新たな一つのものを作り出すまで
待ち続けるしかないのかも知れません。
とは言うものの、そこまで時間が経過するまでにも人の争いは延々と続いているわけで、
気長に構えていられるわけでもないでしょう。

理想論の域に過ぎない話ではありますが、自分とは違う他人を認められることが
重要になってくるのではないかと思います。
相手と自分は異なる存在だけれども、逆からしてみれば自分もまた異なる者なのだと。
小さい頃に言われたような「相手の気持ちになって考える」とでも言いましょうか。
勿論、他者の存在を認めても、それだけで問題が解決できると簡単には言えないでしょう。
異なる者同士が共存していくには、お互いに譲歩しなければならないでしょう。
自己の都合だけを主張していては円滑な社会関係は成立しません。
時には我慢が必要だと言うことです。

自論として子供と大人の違いは、我慢ができるか、できないかの違いだという考えを持っています。
そういう考え方で言うと、世の中には「子供」が溢れていると言っても良いかも知れません。
かく言う私もそうでしょう。
「大人」が増えることができたなら、もう少し進展することでしょう。

長い前置きになりましたが、今回の物語を通じて、こういった問題に対して私なりの回答が
出来れば良いかな―――と思っています。
難民問題を主軸として、そこに生きる人たちが何を思い、どう行動していったのか、
そうした部分で理解をいただけたら幸いに存じます。



妙な生き物『人間』の物語―――
・チーフデザイナー:エビス丸


本作<トロイメライ>の、チーフデザイナーをやらせていただいております、
ヘタレ絵描きのエビス丸と申します。
初めての方も、そうではない方も、どうぞよろしくお願いします。

私がこの企画に携わってより2年半の月日が経ち、
この度、とうとう正式タイトル発表の日を迎えることと相成りました。
いやはや、本当にめでたい!
プランナーの天河さんをはじめとして、
この企画に携わる人たちが積み重ねてきたものを、
皆様にお見せできることを、スタッフとして本当にうれしく思います。

さて、それでは、私がこの<トロイメライ>について思うことなどを、
少々語らせていただきたいと思います。
「そもそもこの物語、どんな話なの?」と聞かれて一言で答えるとするなら、
自分にとってそれは

『人間(ヒト)の物語』

であると思っています。

<トロイメライ>の世界に住人たちは、
少し不思議なチカラを当たり前に持っている以外は、
私たちと何も変わりません。
そこにはただ、「人間(ヒト)」がいるだけ。

考えてみれば、人間って妙な生き物だと思うんです。
シンプルな答えを求めて、複雑極まりない思考や行動を繰り返す。
自分たちの理想を貫こうと、他者の理想を否定する。
争いのない世界がほしくて、争いを繰り返す。
愛されることを求めるあまり、ときに愛することを見失う。
他人に束縛されたくないのに、一人で生きていくことは出来ない…。
生物として見たら矛盾に満ちた存在ですが、
だからこそ、ひたむきに生きる姿が美しい、
そんな存在、それが「人間(ヒト)」。

誰一人、自分とすべて同じ性格や思考を持っている人間なんていません。
人間の数だけ人生があり、物語があります。
人間であるが故の喜び、哀しみ、怒り、強さと弱さ、愛と憎しみ。
いろいろなものが複雑に絡み合い、混ざり合って、つむぎだされる物語、
それが『トロイメライ』。
自分には、今この場で、その魅力のすべてを語ることは出来ません。

…と、自分から言えることは、これくらいでしょうか。
自分の本分は、絵筆でもって、この物語を彩る登場人物や世界を、
目に見える『かたち』に彫り起こすこと。
自分を支えてくれる他のデザイナースタッフたちとともに、
これからも頑張ってまいりますので、
どうかこの物語を、自分自身の目で、心で、
確かめていってください。